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【主張】京アニ事件4年 犠牲の大きさ刻むべきだ - 産経ニュース

放火から一夜明け、現場検証が行われる京都アニメーション第1スタジオ=2019年7月19日午前11時2分、京都市伏見区(本社ヘリから、柿平博文撮影)

36人が死亡し、32人が重軽傷を負った京都アニメーション(京アニ)放火殺人事件の発生から4年となった。

アニメ界の未来を担う若い才能たちが、むごすぎる形で失われた事件の教訓は、生かされているか。残念ながら、そうとはいえない。

殺人などの罪で起訴された青葉真司被告の公判は、9月5日から京都地裁で始まる。真相究明に全力を尽くすとともに、いかに理不尽な主張で非道かつ残酷な犯行だったかを、被告にしっかりと理解させてもらいたい。

被告は多くの人を殺害しようと京都市伏見区の京アニ第1スタジオに侵入してガソリンをまき、放火した。「京アニに小説を盗まれた」という、一方的な思い込みによる犯行だった。

被告自身も重度のやけどを負ったが、最先端の治療で一命をとりとめた。精神疾患での通院歴もあり、弁護側は刑事責任能力を争う見通しだという。

平成以降で最多の犠牲者を生んだ事件はなぜ起きたか。どうすれば再発を防げるか。公判を通じ、社会はこの難題に答えなければならない。事件後、理解しがたい論理の飛躍による凶悪事件が続いているからである。

令和3年12月に大阪のクリニックで元患者が放火した事件では、26人の命が奪われた。昨年7月には奈良市内で遊説中の安倍晋三元首相が手製銃で銃撃されて死亡し、今年4月には岸田文雄首相が和歌山市内の選挙演説会場で爆発物を投げつけられた。

中には、事件の犯人が英雄視されたり、同調されたりする向きもあり、看過できない。交流サイト(SNS)の中では、偏った意見が増幅する「エコーチェンバー現象」が生まれやすく、犯罪の模倣にもつながりかねないからだ。

命が理不尽に奪われることを是とするような論理や思考は、あってはならない。事件の真相究明は再発防止のために不可欠だが、いたずらに興味本位で犯人像やその心理分析に走ることは、本末転倒である。

京アニや遺族有志は事件から5年となる来年7月までに、本社のある京都府宇治市内に事件を伝える碑を設置する計画という。社会に刻まれるべきは、36人もの命を瞬時に奪った凶悪犯の物語ではない。犠牲者一人一人の、かけがえのない命の重みである。

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