琉球文化の結晶である首里城が焼失して1年となる。がれきの撤去が進み、再建へ向けて動き出している。
焼失した正殿などの建物群は、世界文化遺産に登録されている首里城跡に復元されたものだった。
火元とみられる正殿に自動火災報知設備や屋内消火栓はあったが、スプリンクラーは義務付けられておらず、未設置だった。
国宝などの文化財指定を受けていない復元建物というのが盲点となった。
火災を受けて文化庁は、世界遺産や国宝などの5カ年計画の防火対策を定めた。防火設備の設置などを集中的に行うもので、復元建物にも適用される。
復元とはいえ、史跡の文化財的価値や魅力を伝え、歴史の理解を深める役割があるからだ。
国は2026年に正殿を再建する予定だ。沖縄の本土復帰50年となる22年の着工を目指す。長く愛されるためにも防火対策の強化が肝要だ。
最先端の自動火災報知設備やスプリンクラーなどを導入するという。設置方法も、内部の意匠など建物の文化財的価値を損なわないように配慮してほしい。
再建にあたっては「見せる復興」が掲げられている。世界遺産である正殿遺構が一般公開中だ。復元過程もオープンにし、文化教育や観光資源としての活用を図る方針という。
焼け残った赤瓦は再活用が検討されており、しっくい剥がしの作業には市民ボランティアが参加している。再建のプロセスを共に歩むことで、より親しまれる存在になるはずだ。
これまで沖縄県と那覇市に国内外から約50億円の寄付が集まった。首里城や沖縄の文化を愛する人々の思いの表れだろう。
昨年はパリのノートルダム大聖堂で大きな火災があった。国内でも、火災だけでなく、地震や台風で文化財が被災するケースは少なくない。
今月初めには国立文化財機構に文化財防災センターが設置された。技術開発などで文化財を災害から守る体制の構築を目指す。
今年は文化財保護法制定から70年だ。過去から受け継いだ遺産を、未来へ確かに手渡したい。
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