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トンガ海底噴火 津波の怖さ再認識する機会に - 読売新聞

 津波避難の鉄則は、揺れたら逃げることだとされている。だが、実際には揺れがなくても津波はやって来る。自然災害の多様性に目を向け、脅威を再認識したい。

 南太平洋の島国トンガで15日午後1時頃、海底火山の大規模な噴火があった。気象庁は当初、遠く離れた日本への影響はあまりないと予想していたという。

 ところが、夜になって、各地に津波が押し寄せた。気象庁は急きょ、鹿児島県の奄美群島などに津波警報を発令、太平洋側全域に津波注意報を出した。全国では気圧の上昇も観測されていた。

 沿岸部で鉄道の運休が相次ぎ、岩手県宮古市の会場では大学入学共通テストが中止された。高知県では多くの漁船が転覆した。

 津波は北米や南米でも観測された。トンガは浸水や通信の寸断で状況の把握が進んでおらず、被害が心配される。

 気圧の変化は、噴火の衝撃波が原因とみられる。専門家は、気圧の変化で海面が変動し、津波を引き起こしたのではないかと指摘している。珍しい現象で、詳しいメカニズムの解明が待たれる。

 これまでも、南米で起きた地震による津波が日本に被害をもたらした例はあった。しかし、今回、津波を引き起こしたのは、地震による海底の動きではないため、発生の予測は難しかっただろう。

 津波は、巨大地震に伴って発生することがほとんどのため、揺れを感じたらすぐに高台に避難するという行動は理にかなっている。ただ、これにも例外はあり、地震ではなく噴火が津波を引き起こすケースは過去にもあった。

 インドネシアでは2018年に火山が崩れて大量の土砂が海に流れ込み、津波で400人を超す死者が出た。日本でも、1792年に長崎県島原市の 眉山まゆやま が崩落、対岸の熊本県を津波が襲い1万5000人が死亡したとされる。

 津波の前には必ず強い揺れがあるはずだという思い込みは、かえって予想外の災害が起きた時の柔軟な対応を阻害しかねない。

 地殻内部のマントルの動きなど、地球が抱える巨大なエネルギーは人間の想像を超える。昨年は、小笠原諸島の海底火山から噴き出した軽石が、沖縄県などの沿岸部に大量漂着するという前例のない問題も起きた。

 海底火山の大規模噴火は頻度が少ないこともあり、研究が進んでいない。未知の現象に関する知見を深め、予報や観測体制の整備に役立てていくことが重要だ。

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